シャコバサボテン──凍らせないこと

シャコバサボテンは、クリスマスカクタスといい、暖地では12月に咲く。最近はデンマークカスタスというシャコバサボテンが一般の市場に出回っている。方々の家で昨年楽しんだ株が元気に、また半死半生で栽培されている。当地方では寒さが早く来るため、ツボミのできるのが早く、特別の処理をしなくても、10月から11月には咲いてしまう。
花を付けるには夏からかん水をやめ、乾かすという事がツボミを付ける必須条件―と信じられている。日が短くなって低温になると確かにツボミはつく。元気に伸び続ける茎の先には、ツボミができるのが普通だが、確実に初秋にツボミをつくるのは、8月に生長が止まり、一番先の茎節が充実していることが必要。暖地で夏乾かせという理由はここにある。
当地方では、春暖が遅く、新茎が4〜5節伸びて8月に先の節が伸びきらないことが多い。特に肥料の多い場合にこの節が水分不足になると、節は大きくなれずツボミをつけない。これが寒地でシャコバの咲きにくい理由。当地方では7月末に止め肥を施し、8月は特によく日に当てるが、乾かし過ぎないこと。
なお、シャコバサボテンに似て春咲くのがイースターカクタス。この辺では12月末から1月に咲き、暖地では1月から2月に咲くのはカニバサボテン。取り扱いはみな同じ。凍らせないことが栽培の第一条件。
   (辰野日報・昭和59年9月?日掲載)

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