柿の翌年の蕾は前の年の夏に充実した枝の葉腋の芽の中にできる。肉眼的に蕾のある芽であるかどうかは秋の葉の落ちたころにははっきりする。品種によって差があるが、枝先の方の芽の先に丸味がある、葉芽は先が尖っている。若木を除いて慣れれば判定できる。沢山実った年でも実の先の方が10センチ以上のびている場合は先の芽はたいがい花芽になっているが、この枝を折ってしまうと翌年は実らない。
細い垂れた様な枝には花芽はない。今年のびた枝の先が一寸細い場合はその下の2〜3芽には蕾があるもので、先まで太く大きい芽のついている場合は2〜数芽は蕾がある。その先端の芽は翌年のびても良い実がつかないので下の太い芽との中間で柿もぎの時あるいは春先の剪定の時に切り除く。剪定と整枝というものは前年の実のなっている状態をよく観察してどんな所に良い実がなっているかを見ておくと一番参考になる。
柿は細い枝を皆切ってしまってもよい。新芽がのびた時にその枝葉が上下左右にふれたり、重なったりすれば良い実はつかない。また弱い枝はすっかり払ってもよい。そうすると日の当たった所の古い太い枝からは陰芽がのびて、その次の年のよい結果母枝となる。この性質を利用して高くて柿もぎに苦労したり、年実りをおこしやすい古木を低くして毎年実る木に仕立て直したり、その方法が良ければ柿もぎで木から落ちない樹型をつくり得る。
(辰野日報・昭和59年12月1日掲載)
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