花を見る梅でも実はなるが、果肉がうすく苦味があるのが普通。今実梅として売られ、栽培されている種類は近年発表になった品種を加えて20種くらいのものか。実梅にしろ花梅にせよ、この辺の庭木の梅は太い枝ばかりで去年のびた枝は無残に短かく切られている。これでは花も咲かず実もならないのは当然。
梅を実らせ、花を楽しみたかったら根元の枝わかれは2本くらい、中枝も2〜3本に開いたように数を少なくする。中枝から先は全部に日が当たるようにまず太い立枝から切ってしまう。そして、5センチくらいの枝で横に開いている枝を1メートル間隔くらいに残して他は切ってしまう。上向きの大枝は基部を残さぬようきれいに切り取ること。何事も、しっかりした骨組みをつくることが大切で、枝葉末節のせん定をいくらていねいにしてもそれは無駄苦労。梅は太い枝を切っても丈夫な樹木であるから思い切って枝数を少なくする。枝を少なくすると幹や枝から新芽が出てくる。この次が大切。
新しい枝のうち上向きの新枝は5月末から9月まで出るはじから根元から切り取る。この夏期(掻き)せん定が第二の大切な作業。それから、冬から早春の最後の小枝は去年のびて日が当たった枝にはつぼみが一杯だが、実をとるためには大体先の3分の1、下向きの枝はいくらつぼみがあっても切りとる。自家受粉しない実梅は他の品種を高接すればよい。ウソという小鳥につぼみを食べられると実はパーになる。
(辰野日報・昭和60年2月1日掲載)
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