福寿草──株分けで繁殖する

正月に楽しんだ福寿草はもう葉だけになって放任されているかも知れない。明年も楽しもうとするならば、暮れに鉢植えになったものを求めたのであれば大急ぎで、新しい培養土で大きな鉢に植えかえ、日向に置く。
根が短く切り込まれているものは次の正月に咲く良い芽はできない。戸外の土が凍っていなければ夏木陰になる所に植えつけて1年肥培し、明年の暮れに鉢揚げする。一般に暮れに売られている福寿草は福寿海という園芸品種で大きな肉質淡緑の苞に包まれた芽ができ、花も大きい。6〜7月に小さく株分けして2〜3年肥培した株が暮れに売り出されるのである。
園芸品種には色々の花型や色がある。秩父紅という赤花は暮れにはなかなか咲かない。高遠の奥の芝平ではそれほど赤くないが赤花株を採集したことがある。園芸品種は野生の変異から改良されたものである。
この辺の野生の福寿草は大変に減ってしまった。野生種も肥培すると見事な芽を作ることができ、暮れに咲かせることもできるが、苞が淡褐色で乾いて枯れやすく、葉の色も鮮緑でなく、花も貧弱。早咲きを試みた際に草丈が高くなりやすい。種子と株分けで繁殖できる。株分けは葉が枯れた直後がよい。大株は刃物で切り分け芽の部分を4〜5センチの深さに植えつける。種子はすぐに夏日陰になるところにまいておく。
   (辰野日報・昭和60年2月22日掲載)

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