オミナエシ──激減した盆花

秋の花であるが昔は一杯あって今は山野をさがしても大変に減ったのがオミナエシ。お盆を飾るのに辰野地区では平出から上野には一杯あったのに。近頃は盆花として飾りたくも本当に少なくなってしまった。
オミナエシは日向で乾く所が好きである。造林が進んだり、雑木は大きくなり、草刈りは行われないので翌年咲く芽は育たなくなってしまった。咲いている株を掘ってきて植えてもなかなか活着しない。咲いている株の匐枝(ふくし)が出ていれば、その匐枝を一緒に掘って来て植えればよい。だって山に基の株さえねえじゃあねえかとも言われてしまう。
今、私の栽培している株は広島市植物公園で結実しているのを洋ランの世界的学者で下伊那出身の唐沢耕司園長に請うていただいたものを播いて3年目、久しぶりに昨年盆花として仏壇に供えた。
入手する一番簡単な方法は早生種を切り花用に栽培するので専門種苗商から春秋に苗を購入することである。
オミナエシは乾く日当たりの完全な所に植えつける。肥料はやらない方がよい。地際から横に細い匐枝が出て、その先に葉が広がる。その芽は1〜3年後開花する。株が密生すると長雨の時にサッと腐ってしまうので盛り土をしたり匐枝の間引きをしたりで掌中の美女を長年楽しむ事は案外大変である。
   (辰野日報・昭和60年3月8日掲載)
  写真撮影:青木繁伸氏(群馬県前橋市)

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