キキョウ──栽培は容易

キキョウはマツムシソウやオミナエシよりは木陰に強いが余り上の木が繁ると矢張り育ちにくく野生の数は急に減った。多年性の肉質の根を持っているので性質は一番強く栽培も容易である。日のよく当たる庭や畑では年々大株になってゆく。
野生のものは青の一重であるが、青や白の八重は方々で栽培してきたし切り花用には早生種が作られている。外国で育成されたマリエッシーという早咲き種は花筒の底が丸く、茎は細目でやや低い。最近は小型のアポイキキョウとか色の鮮やかな美里紫と桃色のものが出てきている。
繁殖は普通種子を春にまく。ゴマ粒くらいの黒い光沢のある種子で、4月に裸地にまくと割に良く生えるがはじめの成育は遅い。3〜4対の葉の出てきたころから急に大きくなり、根元から枝が多数出てきて真夏以後から開花するが、1年目は細い茎だけしか出ない。肥培すると1年目の根は細い三寸人参様で手の指くらい。移植した場合は根は枝分かれする。白色で2年目以後は横根も太くなり、たくさんの芽をつける。春に芽が伸び出してからの移植はおくれる程成育が不良になる。古い株は上に芽をつけて株分けできる。
この根は鎮咳剤とか韓国料理に使われるが生では有毒であるから食べないように。8月のお盆には普通花は咲き終わるので6月中・下旬に茎の上半を切り捨てるとよい。
   (辰野日報・昭和60年3月24日掲載)

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