シャクナゲ[2]──作りにくい花

シャクナゲは作りにくい。逃げるわけにはゆかないので、ヤクシマシャクナゲを外国に紹介したシャクナゲの世界的功労者の故和田弘一郎氏と共同で、日本のどんな所でも育つシャクナゲを選び育成する仕事を一寸進めてきた。しかし、横浜の戸外で越夏した700本余の苗も次第に夏か冬に枯れ、生き残って蕾の出た株も昨冬の厳寒には50本も凍死してしまった。
世界中で最も強いと言われた7種の交配一〜二代目の交配種でも現在手元に生き残っているのは2〜30本に過ぎない。ところで西洋シャクナゲの良い所は咲いた花の下に新しい枝ができて、その枝先に花芽をつけて毎年咲くこと、又頂芽のみでなく、その下の葉の所へも花芽が着き、一つの枝先に多い場合は5個以上も花芽をつける事である。現在は赤や紫地各種の色の西洋シャクナゲが沢山種苗店などから売り出されているので、日本シャクナゲで失敗した方は西洋シャクナゲに挑戦して見ていただきたい。
シャクナゲの培養土には赤玉土、桐生砂、富士砂等にピートモスや腐葉土と樹皮(バーク)堆肥を混ぜて植えるとよい。また、シャクナゲは他の植物と異り、下程細かい配合土を入れ、上の方は粗大の粒子にする事と、鉢底を必ず地面につけて余分の水分を下に抜く様にする事が大切。2〜3年に一度は古い土を全部洗い流して新しい土に植えかえるがよい。
   (辰野日報・昭和60年4月6日掲載)

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