枝垂栗[6]──森林資源の活用

枝垂栗関係の観光事業は自然教育の場としても大切で、そのためにはこの地方に昔からあったが最近減ってしまったオミナエシやキキョウあるいは春のヤマブキ、イワヤマツツジと当地でいうミツバツツジの類などかん木やコブシ、トチノキ、カツラ、ホウノキその他大木になれば材価の高い木がいろいろあるので、周縁の森林所有者も一緒になってカラマツ林を針葉樹と広葉樹の混生した長期経済価値の高い安定した地表と地下水をたっぷり蓄え得る森林とし、行路の両側には春から秋までの各種の山野草の美しいのを植えつけたいものである。
現地には野生はないけれどもフクジュソウも植えたいし、カタクリも保護したい、山の入り口から林道を登って諏訪境のりょう線までを枝垂栗を中心として一貫した自然植物園とし、入り口に出来るだけ広い駐車場を設ければ中心テーマが世界唯一の枝垂れ性の野生林であるだけに大変な観光資源である。
育成の方法によっては世界的な名植物園になり得る代物である。むろんそうした観光とか植物園にするには30年50年を要する。そのくらいの長期間をかけて行う価値のある事業である。
辰野町でこの他に無い資源を生かせるかどうか、それにはまず何でもつくりこなせる園芸人が多勢参加ができれば幸い。園芸とは鉢や小庭で草木を育ていとしむものではなく、もっと大きく楽しめるものなのである。
   (辰野日報・昭和60年6月7日掲載)

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