オキナグサ──露地、鉢の種子まき

今春の南信は野の花便りで楽しい。チゴンバナことオキナグサの種子が方々でとれている。毛のある種子の種まきはちょっとやっかい。オキナグサは長くおかないで早くまく。早速毛玉をもんだり、ほぐしたりを繰り返し、離れた毛を軽く吹きとばすと細長い5ミリほどの種子が残る。種子の中には完熟してしばらくの間はすぐ生えるが、それ以後は発芽をおさえる酵素ができたり、種皮がかたくなって半年か1年たたないと生えなくなったり乾き過ぎると生えなくなるものがある。オキナグサは熟したらさっそくまくに限る。
露地まきしてもよいが、10センチ位の浅鉢にまいてうすく覆土し、過湿にならないよう保存する。乾くからといって日の当たらぬ所においては駄目。庭にまく時は半日以上日の当たる所におくこと。他の毛のある種子たとえばクレマチスも同様。クレマチスは乾き過ぎると2年も生えないこともある。センニチコウやワタの種子は泥水でもんで毛を湿してからまく。
ここでお願いしたいことあり。アツモリソウやクマガイソウが野生は絶滅してしまう大危機にある。もし結実したらその道の専門家に発芽させてもらうから本社又は筆者に届けてほしい。小生の所にはちょっと入手しがたい植物があるので出来た苗の他にほしいものを差し上げることもできる。3〜5センチの細長い実が黄ばみはじめたらポリ袋に入れて届けてほしい。
   (辰野日報・昭和60年6月14日掲載)
  写真撮影:青木繁伸氏(群馬県前橋市)

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