混植造林──枝垂栗によせて(1)

65年には緑と花の万博が開催される。全党派の国会議員連盟も発足し、財団法人園芸文化協会の先日の総会に農林水産省の担当官から協会に対し総力協力を求められた。辰野町もこれを機会に枝垂栗林を中心としてその保護拡大と、周縁の一大自然公園、針葉樹偏重で枯れてきた森林の有用広葉樹を混植造林し、経済的にもまた水資源的にも地表の崩れたりしない安定した森林にして、観光と自然教育の場とする第1期の事業を発足させてもらいたいものである。どんな木や草を植えたり保護するかは、関係者や一般の要望により別の機会に譲る。
荒神山にヒカリゴケが発見された由。これもめでたいこと。昔荒神山にスズランがあった。なぜ周囲の山にないのにあの低い山にスズランがあったか。その株は亡姉が採集してきたものが小宅に保存してある。なぜか国内産のスズラン中最も小輪で、植物学上大変に貴重なもので、折があれば故郷の荒神山に帰らせてやりたい。
上平出沢入山のヤマナシを戦後ナシの果樹園で「砧木」にしてみた。ところがこの木の根はモンパ病というナシの根を腐らせる産業上大病害に対して大変に強い。この木の繁殖が出来れば日本のナシ産業上大変な利益であり、世界的にもモンパ病対策の画期的発見である。バイテクほか種々の方法で増殖の研究をしていただいている。この原木、ぜひ大切にしてほしい。
   (辰野日報・昭和60年6月21日掲載)

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