利用法と栽培法をいくつかの種類別に述べておこう。
飯島以南の古い家の庭に栽培されている最も大型のトウギボウシ系のものに天竜と名付けた。天竜は立葉で、銀葉で華道には最も良型。他の銀葉が初夏で葉面が汚れるのに、8月以降も切葉に使える。土手の土止めと、造園用には壮大強健最高であり、早春の若芽と6月中旬までの葉柄は最も美味である。大部分の根を切らねば掘り取れぬので、特性を発揮するのは3年目以降で、民宿などで造園とともに山菜用に栽植してほしい。
スジギボウシの仲間は葉の縁の白い白覆輪や中央が白くあるいはしまになっている斑入種が多く、変異は非常に多く中型。陽光にも強いし、乾燥にも強く、株の寿命も最も長い。花梗に葉状片がつくのでオハツキギボウシといい、全国的に栽培が多い。鉢作りにすると15〜20センチくらいの小型に作り得る。
小型種の代表は文鳥香という白中斑種で、鉢で小作りすると10センチ以下の笹葉となり、肥えた多質の露地では広卵形で幾分軟らかい白中斑で草丈が30センチ近くになり肥培、やせ作り共に夏の花色は紫にさえる。もう一つの小型種は江戸時代に出来たか中国か韓国から長崎にでもはいったのかカピタンという細葉種は縁が濃緑、中が黄から淡黄緑の軟らかい感じで美しい。この両種は鉢植え、露地植えに適。芽は細い短い地下茎の先に出来る。
(辰野日報・昭和60年8月24日掲載)
写真撮影:青木繁伸氏(群馬県前橋市)
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