ギボウシ[7]──丈夫な多年草

普通の野草はその種子をとってまくと全く同じものが生えてくる。ところが野生のギボウシの中には同じものが生えてこないものがある。栽培種をまいて見ると同じものが生えてこない場合が相当あるし、全く結実しない種類さえある。同じものをふやそうと思ったら株分けをすることになる。幸いギボウシは年中いつ掘って植えかえても活着する丈夫な多年草であるから有難い。
分株の時期は早春の芽の伸びないころから伸び始めまでが一番よいが、この時期は根が一番よく張っている時期で、特に大型種の根の強い元気な株は大変である。貴重な斑入り種などは根は1本でも切りたくないが、そうでないものは株際からスコップでざっくり根を切って掘りあげて、数日乾かして土が落ちやすくなってからスコップか鈍刀で株を切り分ける。スコップで株の一部を切りとってもよい。数多くふやすには昨年度の1芽分、さらにこれには数芽あるので縦に1芽ごとに切り分けてもよい。また2、3年前の古い茎も休眠芽があるので、これも切り分けて1年培養すると古株になれば100株余にふやすことが出来る。小型株の茎の細いものは太い肉質茎のものより分株は容易である。
夏の分株は根の土が離れて分株は非常に容易であるが、葉は丁寧に扱っても傷んでその年の観賞には向かない。
   (辰野日報・昭和60年8月30日掲載)
  写真撮影:青木繁伸氏(群馬県前橋市)

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