カエデ[2]──欧米では園芸用

カエデの葉は蛙手の語源があるように、普通は7〜9片に葉が切れこんでいるが、その切れこみ方に大変に変化が多い。指をのばさない手のように下半は丸く上縁のみ3〜5浅裂するウリハダカエデやハナノキがあり、全くハート型のヒトツバカエデ又の名マルバカエデ、葉が対生しているのでシデやクヌギと区別できるチドリノキ等は単葉であるが、3枚複葉で大葉のメグスリノキ、小葉のミツデカエデ、北米産のネグンドカエデは2〜3回3片ずつに分れた完全の複葉。しかも此のネグンドカエデは一番の大葉、葉長50センチを越し欧米では園芸品種が多い。
野生種中ミネカエデ、コミネカエデ、ハウチワカエデは亜高山や山稜付近に生育し、ウリカエデ、ウリハダカエデ、メグスリノキは中腹に多く、一般のカエデは中腹以下で沢筋や緩やかな山腹に自生する。ハナノキは下伊那、岐阜、愛知の辺の山間湿地に限り特産する。一番大きくなるのはイタヤカエデで、ヤマモミジやイロハカエデは余程の古木でない限りバイオリンの胴等にはならない。ミネカエデやコミネカエデは太幹にはなりにくく株立状となり、ウリカエデは国産では最も小型で太い幹や古木は少ない。大木になれば材は美しい模様が出るので家具材となる。ウリハダカエデ、カナダの国章となっているサトウカエデとネグンドカエデ等の春の樹液からメープルシロップが作られる。
   (辰野日報・昭和60年10月26日掲載)

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