洋ラン[3]――クンシランとその植えかえ(1)

クンシランの花はもう終わったと思う。花が終わって新しい葉がのびはじめるころが植えかえの適期。クンシランの葉は1年に3〜4対で6〜9枚出て、春の開花期には去年と一昨年の葉が健全で、その前の年の葉は昨年の秋から順次黄化して枯死してゆく。
生長の遅い斑入葉系は年に2〜3対で4〜6枚くらいしか葉ができない。クンシランは花と共に葉を楽しむものであるから、3年から4年は葉を傷めないように管理することが必要である事がわかってもらえると思う。その間は夏は強光線で葉に日焼けをおこしたり、焼け傷がなくとも黄ばんだ葉になっては見苦しい。余り日陰で室内の暗い所におくと、葉は徒長して広い短かいダルマ系の葉でも60センチを越し、細葉になってしまう。そして冬に凍らせると一コロで株を台無しにしてしまう。暑すぎても寒すぎてもいけないし、日にあてすぎても少なすぎてもいけない鉢物である。水がすくなすぎても多すぎてもいけない大変に厄介な草花である。私の所でも夏冬は特に何処におくかという事で気配りは大変である。
花を良く咲かせるには今年の葉を立派に作る事。夏場に元気に根をのばす事が必要で、2年に1回は改植しないと古い腐った根から株全体を腐らせる事もある。秋の冷期が早くくるので信州は早く花芽ができ、暖かい所に晩秋に早く入れると年内に咲いてしまう。
   (辰野日報・昭和61年5月18日掲載)

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