洋ラン[4]――クンシランとその植えかえ(2)

クンシランの根は好気性のために排水の良い鉢や培養土が必要である。観賞用には化粧鉢が良いが、堅焼の鉢を使う時は特に粗大で保水力のあることが必要。安全に作るには小さ目の素焼鉢が一番良い。順調に育っている株の根はものすごく沢山からみあってのびているので、鉢から簡単には抜けない。1週間余全く灌水せず、鉢の縁に出た根が軟らかく感じるくらいに乾かしてから鉢から根をはがしながら抜きとる。安い鉢なら割った方が早い。根が固ければ一回り大きい鉢に入れて更に乾かす。根がしなしなになったら丁寧にほぐし、古い土や腐った根を除く。
培養土は大粒の赤玉土や鹿沼土に粗い腐葉土で2〜3年後にはつぶれる様なものが良い。牛ふんの乾燥堆肥の2〜3センチ以上の塊があれば最も成績が良い。植えつける鉢の中へ株をまわすようにして根を押しこみ葉の根元が鉢の縁より3センチ以上深くなる様におさえてから培養土を鉢に入れ、まず先の尖った棒で株元に土の入る様に棒をまわしながら土を入れる。土を足しては又土をつつきこみ、最後に鉢の内縁に沿って棒をさし込んで動かしながら土を入れていく。鉢の縁から3センチくらいの所まで土を入れて改植完了。日陰に数日おいてから徐々に灌水する。すぐに灌水すれば失敗。
葉が数枚しかなかったり、生きている根が僅かしかない株は赤玉や腐葉だけで5号鉢くらいで1〜2年は看病する必要がある。
   (辰野日報・昭和61年5月25日掲載)

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