お盆の花[1]――さえない栽培物 |
お盆の花というとキキョウやオミナエシ等を山へ採りに行き、伊那市では上農高生が山で採ってきたものを売り歩くニュースが毎年新聞に報じられる。所が最近はあれ程山野にあったキキョウもオミナエシも山で見つける事が困難になってしまい、老人にとってはちょっとさびしくなってしまう。12日の朝に抱きかかえる様に採ってきたキキョウ、オミナエシ、フジバカマ(当地産はヒヨドリバナである)、ワレモコウ、カワラナデシコ、盆膳の箸にしたりウリやナスの馬の足に使ったユウスゲの花梗または水辺に栽培されたミソハギ等々よくもまあ姿を消したものである。開墾畑の辺は特に豊富でコオニユリ等は戦前よりは非常に多く殖えていたのに。どれも乾燥気味の山林原野が大好きな植物で、造林されたり草刈りをしなくなった為の犠牲者である。代りに洋花の方は益々種類も増し、豪華になっていく。将に昔の仏様びっくりと言った次第である。 |